複数のウェブサイトを運営していると、それぞれのウェブサイトからそのほかのウェブサイトへどのぐらいの流入があるのか気になります。

2つ以上のウェブサイトをGoogle アナリティクスで解析するする場合、ただ同じタグを入れれば済むように思いますが(Google アナリティクスにはURLを登録する画面がありますが、実質的には「タグが入っていること」が優先されます)、インデックスなどどちらのサイトにもあるページ(同じディレクトリ&ファイル名のページ)は加算したデータになってしまいます。

Google Analytics のクロスドメイン設定:設定せず同じタグを2つのサイトに入れておくと、「/」などの同じファイル名のデータ加算されてしまいます
Google Analytics のクロスドメイン設定:設定せず同じタグを2つのサイトに入れておくと、「/」などの同じファイル名のデータ加算されてしまいます

そこで、クロスドメイン設定を行います。

以前は、Google アナリティクスタグを編集するなど面倒でしたが、今はGoogle タグマネージャーを使って3つのステップで解決できます。Google タグマネージャーにはその他にも使用するメリットがあるので、「Google アナリティクスはGoogle タグマネージャーで設定する」と習慣にしてしまうと良いでしょう。

ステップ1:Google タグマネージャーでクロスドメイン設定をする

まずは、Google タグマネージャーにログイン(申し込み)しますが、ここでは初期設定やユニバーサルアナリティクスタグの設定は省略します(ネット上にわかりやすいHowToがたくさんあるので)。

ワークスペース内にある「タグ」をクリックすると、すでに設定されているユニバーサルアナリティクスタグがあると思いますので、そちらをクリックしてください(もし、単独サイトでのデータをそのまま残したい場合は、別のユニバーサルアナリティクスタグを新規作成してください)。

クリック後、右上にある編集マーク(鉛筆アイコン)を押下すると下記のような画面が開きます。ここから詳細な設定を行っていきます。

クロスドメイントラッキング(Google Tag Manager)
クロスドメイントラッキング(Google Tag Manager)

まず、詳細設定>設定するフィールド>「+フィールド」の順にクリックしてください。

そうすると、下記のように「設定するフィールド」が出てくると思いますので、フィールド名と値を入力してください。サブドメインと別ドメインの場合では、入力する値が異なります。

クロスドメイントラッキング(Google Tag Manager)
クロスドメイントラッキング(Google Tag Manager)別ドメインの場合のフィールドの設定

サブドメインの場合

フィールド名に cookieDomain 、値に auto を入力します。

異なるドメインの場合

フィールド名に allowLinker 、値に true を入力します。

続いて、『クロスドメイントラッキング』をクリックして開き、「自動リンクドメイン」に計測するドメインすべてを「半角カンマ」で区切って入力します。入力するときは、上にあるキャプチャのように「http://」や「https://」は不要です。

ステップ2:Googel アナリティクスの画面を完全なURLで確認できるようにする

Google タグマネージャーの設定をするだけでは、レポートを正しくGoogle アナリティクスに表示することができません。

通常、Google アナリティクスでは、ページはドメインを除いたURL(Page Path)かページ名でのみ表示されるため、同じファイル名(例えば /index.html など)が存在する場合は加算されてしまうからです。

クロスドメイントラッキング(Google Tag Manager)
クロスドメイントラッキング(Google Tag Manager) ディレクトリが複数のサイトで被らなければこのままでもいけるのだが、大抵はトップページが被ってしまう。

上記の例で言うと、もし別のトップレベルドメインに「/」(/index.html)が存在する場合、2つのデータが一つのデータとなって表示されます。

※デフォルトでは、/index.html は、リンクの記述の違いに併せ、/と表示されることもありますが、「ビュー」の設定で /index.html に統一できます。詳しくはGoogle Analyticsの表示で、/(index.htmlなどのページ名なしURL)とindex.html(.php、cgi)を一つにまとめる(デフォルトのページ設定)をご覧ください。

そこで、Google アナリティクスの表示を、ディレクトリ(Page Path)ではなくトップレベルドメイン(Page URL)へ変更します。

Googleアナリティクスの管理画面にある「ビュー>フィルタ」で設定するのでカンタンです。

クロスドメイントラッキング(Google Tag Manager)
クロスドメイントラッキング(Google Tag Manager) ビューでフィルタを設定して、トップレベルドメインを表示します。
  • フィルタの種類:「カスタム」→「詳細」
  • フィールド A -> 引用 A:ホスト名/(.*)
  • フィールド B -> 引用 B:リクエストURI/(.*)
  • 出力先 -> 構成:リクエストURI/$A1$B1
  • チェックする→「フィールドAは必須」
  • チェックする→「出力フィールドをオーバーライド」

正規表現での記述はわかりにくいので、意味は覚えずともこのまま太字の部分をコピーしてそれぞれの入力欄にペーストして、保存すればOKです。

ステップ3:参照元除外リストにドメインを追加する

ドメイン間の移動を正しく計測するため、参照元除外リストの調整も行います。ユーザーが cross-domainA.com から cross-domainB.com へと移動した場合、通常は参照元が cross-domainA.com と記録されます。このままでは、「参照元/メディア」では「cross-domainA.com/referral」と記録されてしまうので、本来の流入経路(オーガニック検索、有料検索、外部サイトからの流入など)が分からなくなってしまいます。

それを防ぐために、参照元ドメインから関連するドメインを除いておきましょう。

左下のメニュー「管理」から、「プロパティ > トラッキング情報 > 参照元除外リスト」を開き、クロスドメイン設定をするURLすべてを新規登録します。登録するときは「ドメイン」欄にそれぞれのドメインをひとつずつ入れて保存すればOKです(http://、https://の記述は不要です)。

クロスドメイントラッキング(Google Tag Manager)
クロスドメイントラッキング(Google Tag Manager) 管理画面から、参照元除外リストに各ドメインを登録します。

ドメインの異なるサイトが、ひとつのGAで計測できるようになりました!

クロスドメイントラッキング(Google Tag Manager)
クロスドメイントラッキング(Google Tag Manager)一覧にトップレベルドメインが表示されるようになりました!

上の図で言うと、11番と17番が2つのサイトそれぞれのトップページになり、加算されなくなりました。

本当は、Google Analyticsの『ユーザーエクスプローラー』などで、2つのサイトを行ったり来たりしている様子をキャプチャしたかったのですが、閲覧者数の多いサイトから少ないサイトへのリンクを貼っていなかったので見ることができませんでした…とほほ。