ある夜のテレビ番組で、実業家の前田裕二氏の生活が紹介されていました。
恥ずかしながら前田氏のことは『有名女優さんの交際相手で、若手のIT系企業の社長さん』としか知らなかったのですが、導入部分ながらも氏の考え方や、学生の頃からメモを膨大に取り続けており『メモの魔力』という書籍が今とても評判になっていることを知り興味をもったのでした。
私個人はメモ、特に手書きでメモを取ることはとても重要なことと位置付けています。研修を担当しても「私の時間だけでも良いから」とパソコンではなくノートとペンでメモをとることを強要(笑)したりもしました。
まずは『メモの魔力』を拝読する前に、「自分がどのようにメモすることを考えているのか」を振り返り整理してみようと思います。
研修中のお約束「メモは紙とペンで」
先日、新卒で採用された新入社員に対してマーケティングの基礎研修を行いました。インターンに対してのアイデアスケッチのワークショップと異なり6時間も若者を相手に話し続けるのですが、話している間、パソコンの音がカタカタ聞こえてきたらこちらのモチベーションが萎えるなぁと、6つもある「研修のお約束」の最初の1つをメモに関するものにしました。
『強要』したと言っても、これから色々言ってくる諸先輩方の「仕事の仕方」やら「社会人としてのマナー」(困ったことに全員が一致するとは限らない)の取捨選択をし自分に合った方法を見つけていくために、「私の研修時間だけ試してみて」との注釈付きです(前田氏のように学生の頃から確立されている人はほとんどいないと言ってよいでしょう)。
メモを取る目的
私が考えるメモを取る目的は大きくわけて2つありますが、「仕事」ということに視点を置くとそのほとんどは「記録」になります。
- 自分自身の覚書
- 簡易なエビデンス(議事録としての体は成していないのであくまでも内々のものとして)
こちらは淡々と事実を列挙していき、そのとき自分が思った事や疑問(後で調べようと思うもの)を横のスペースに書いていくイメージです。
もう一つの目的は「思考の整理」です。
前述の「そのとき自分が思った事や疑問(後で調べようと思うもの)を横のスペースに書いていく」もそうですが、ただ事実を書き留めるのではなく、思いついたこと…自身が感じたこと、重要なキーワードの強調、連想する言葉、関連するタスクなどを加えていきます。
なぜパソコンではなく、手書きのメモなのか
パソコンは慣れると早いです。仕事でもプライベートでもパソコンが手放せない生活を10年以上続けていると、リアルタイムでのまんま議事録も作れるぐらいのタイピングスピードを身に付けられたりもします。
データ化も、その共有もすぐにできるのも大きなメリットと言えるかもしれません。
でも、それだけ。手書きのメリットには叶わないというのが持論です。
手書きのメリットは2つあります。ひとつは「書いて覚えることができる」です。学生のときの授業や学習ではノートを取るのが普通でしたが、教科書を読むだけよりもノートにまとめたほうが頭に入りやすいのは誰でも認めるところではないでしょうか。覚えなければいけない漢字などを繰り返し書いて覚えることからも、効果は立証されているのです。
二つ目は頭の整理をしながらカタチにすることで、思考を可視化できることです。
早く、わかりやすくメモをするために箇条書きにしたり、図を入れたり、蛇足的なことは横にちょこっとメモしたり。いらないものを排除し本当に必要なことだけを記述していく行為は、自然と頭の整理をしながら記録もしているという二重作業です。
パソコンと異なり、記述エリアの使い方も自由自在なので、矢印などを使ったフローチャートや、全体感をわかりやすくする地図やグラフなどをすぐさま描き込めるのも良いところです。
実際、パソコンで作った箇条書きのメモは整理されておらず、そこに視覚的な辛さも加わり見直すことが苦通であったりもします。自分のノートであればすぐに見返せるし、その時思ったことを適した場所にさっと言語化して追記することもできます。
何よりも「図や絵を入れて可視化する」ことは、思ったことを言語化することと同様に脳内整理や人に説明するときにとても役に立ちます。
社内の会議などで、会話中に立ち上がってホワイトボードに板書を始める人は決まっています。その人たちは頭の整理は書くことでしやすくなるということと、情報の共有は耳よりも視覚的に行ったほうが確実だということを知っている人です。本気で理解しよう、相手に理解させようとしない人はパソコンを打ちながらただ口を動かしています。
そこで、付けたし的な効果として思いついたのですが、パソコンよりノートでメモを取っていたほうが、真面目に話を聞いている、真剣みがあるなど上司の評価は高くなるかもしれません。
自分のメモ行動
大学~海外遊学時代は小さなクロッキー帳、ガジェット好きが高じて手にしたZaurus(ザウルス・シャープが2002年から2008年まで販売していた電子手帳)、流行のシステム手帳、スマートフォンと私のスケジュール帳とメモ帳は色々なカタチで常に自分の手元にありました。
電子手帳やスマートフォンのアプリを活用してみて改めて感じているのが、ノートの自由度です。最近は4年ほど続けてデジタルを離れ、NOLTYの年間スケジュール帳と中ぶりのMOLESKINEのノートを愛用しています。
何かで、「デスク(自宅なら勉強机)が大きい方が思考が広がる」というのを聞いたことがあるのですが、メモする場所も視界を狭めず大きく手を動かせたほうが、思考を広げてくれるのかもしれません。